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神はさいころを振らない
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2008/08/31 ( Sun ) 23:19:16
二者を同時に動かすのが嫌で、どうにか書き直せないものかと頭を悩ませていたのですが、
ノーダイスの一人称のみではどっちみち行き詰まるので、神の視点からの文章も少し。
女長老の名前にも悩まされましたが、こうなったら開き直ります。

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 ぱらぱらぱらぱら。

 雨はいいなぁ。
 うん。濡れるのは勘弁してほしいけど。

 ぱらぱらぱら。

 自分の布団にもぐって、屋根を叩く雨を聞いている。
 夜の雨って、どうしてこんなに好きなんだろ。

 ぱらぱらぱらぱら。

 眠る前に聞く雨音。

 ―――ふいに。
 母さんに聞いた話を思い出した。
 母さんが昔、冒険者だった頃の話。

 食べ物も水もなくなって、迷い込んだ森の中。
 舌なめずりで飛びかかってくる猛獣の、その頭越し。
 白く冴え冴えと光る月。

 一人の人間が死ぬその瞬間にも、ただ静かにそこにある、自然。
 厳粛な美しさに打たれて、己の窮地を一瞬忘れたと、母さんは笑った。

 ……それから?
 ああ、話の続きを忘れてしまった。
 母さんはどうやって絶体絶命の状況から助かったのだっけ?

 ぱららぱらら。

 なんだか音が大きい。
 それくらいはわかる、雨粒が大きいということ。
 大人たちならこんなとき、不吉だと言うのだろう。まだ雨期には早いのにと。

 ぱらら、ぱらら。

 明日は外で遊べないかもしれない。
 うとうとと僕は思った。









 ぱらら、ぱらら、と乾いた小さな音がする。
 雨の音にしては少し妙な、硬い粒が乱暴に地面を叩く音。
 まさか季節外れにも豆まきでもしているのかと思い至り、次いでようやくそれが馬の駆ける音だと気がついた。

 深夜の馬蹄の音は、悪魔の軍勢を引き連れてくるという。

 見目麗しい娘の姿をしてはいても、ルパは、村一番の長老と呼ばれる齢である。
 闇の使者に率いられた人外の軍勢など、老いたこの身で相手にできるわけもない。
 とてもではないが歓迎できる事態ではなかった。

 どんどんどん。

 乱暴に扉が叩かれる。
 小さな家が震えるさまは、怯えて縮こまる子供のようだ。

 どんどんどん。

 ああ、ああ、急かさないで。

 獣脂の蝋燭に火を灯し、夜着の上にガウンを羽織って、ルパは扉へ向かう。
 嵐の夜さながらにゴウゴウと吹き込んでくる厄災を、せめて目を開けて見つめるために。



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第一章
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